荒唐遊民

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ナンセンスな台湾映画業界のセルフパロディ『超低予算ムービー大作戦』(2024年)感想(ネタバレあり)

台湾Filmakeの特集上映で視聴。

まさにB級コメディ映画の王道といえる作品だ。(B級というのはもちろん誉め言葉です)

脱力系やナンセンスコメディが好きなひとにおススメだが、設定は最近の台湾映画の潮流を意識しており、まさにセルフパロディという感じ。

 

あらすじ

動画配信中に監督が消えたというニュースから物語は始まる。

大作の興行失敗により経営危機に陥った映画会社が頼ったスポンサー(飲料メーカー会長)が示した予算はわずか10万元。(約50万円)ノーギャラで制作を引き受けたのは自称ハリウッド帰りの怪しげな映画監督。ロケにもキャストにも払う資金がなく、監督と他スタッフの関係もギスギスするなか、会長からは自社商品「双龍グアバジュース」を売り込むようシナリオに無理難題をつけられる。

何とか製作にこぎつけるが、ロケ地に選んだ心霊スポットでは奇妙なことがおこり、配信現場も混乱する。さらに、監督は時間を操る不思議な力をもっており、監督失踪の真相も明らかになりはじめる。

 

これぞB級ナンセンスコメディ

監督の李幼喬は広告出身らしい。調べたら、MVやCMを製作しているようだ。

・過去に監督したMV

youtu.be

そんなこともあり、作品全体はカット数も多く、効果音やズームで次々と目まぐるしく舞台がかわり、飽きさせないしかけで広告業界でのキャリアが遺憾なく発揮されている。

100分弱という時間はこのようなジャンルでは長めの部類だが、冗長さを感じない。

 

随所にちりばめられた無意味な小ネタ(執拗なグアバジュース推し等)や非現実的な登場人物(オーディションに現れる人物や会長の取り巻き)、予想通りのお約束ナンセンスなギャグ等をあまり考えずにリラックスして観ることができる。

突然映画監督が指輪で時間を操作し始める展開は意味不明だが、それも伏線。

 

スポンサーの意向に右往左往する制作陣は、長年広告業界に身を置いていた監督の経験からなのだろうかと推測される。

心霊スポットでの動画配信という舞台設定は、近年の台湾ホラー映画ブームのパロディを感じさせる。

さらに、冒頭で「最近は感動系がブームなんだ」としらけた発言をプロデューサーにさせておきながら、この作品も最後は、時間を操作できる映画監督の能力が鍵となって感動系エンディングになることも自己言及的で面白い。